学校日記

人権週間にあたって

公開日
2015/12/09
更新日
2015/12/09

校長より

 12月4日からの一週間は「人権週間」です。毎年、朝会で人権の講話をさせてもらっています。今年の講話は「いじめをしない!」とか「人権を大切にしよう!」というものではなく、話を聞いて優しい気持ちになれる、「自分にもそんな優しさがほしい」と思えるような話にしたいと考えました。概要はこんなです。
◇      ◇      ◇
 昨年の人権週間では、私が小学校6年生だったときのいじめの話をしました。今日は、私が小学校2年生の担任をしていたときの出来事・エピソードを話します。

2年1組には「たかし君」(仮名)というとても元気な男の子がいました。「元気」と言えば聞こえがいいのですが、“やんちゃ”“悪ガキ”…ううん、“クソガキ”と表現した方がいいような子でした。乱暴だし、得意なのは体育だけ。休み時間と体育の授業だけを楽しみに学校に来ているような子でした。
さて、国語の授業です。全員を立たせて、教科書の音読をさせていました。みんなしっかりと声を出して読んでいます。そんな時、何か言いたげな様子で、たかし君が私の所にやってきました。みんなは一生懸命に音読している中で、私はたかし君に「どうした?」と聞きましたが答えもせずに私の腕を引っぱります。そして、自分の席まで私を引っぱっていき、前の席の女の子の足元を指さしました。
よく見ると、女の子・さきちゃん(仮名)の足元が濡れています。やっと意味がわかりました。
 私は、みんなに「あと3回読んで、終わったら漢字のドリルをしなさい」と話した後、黙ってさきちゃんを保健室に連れて行きました。
保健室からすぐに戻り、濡れた床をふこうとしたら、とっくに床は拭かれ、少し湿ったような跡があるだけです。私は雑巾を持ったまま、たかし君を見ました。
 たかし君は、いつもの顔にすっかり戻ってニコッと笑い返しました。
たかし君が何も言わずに私の腕を引っぱったのは、学級の他の子たちに、さきちゃんのことを知られたくなかったからです。だからこそ、言われてもいないのに人のもらしたおしっこを雑巾で拭いてくれたのです。

 毎年、12月4日から10日までの一週間は「人権週間」です。今日はちょうどそのまっただ中です。人権週間は「人権を尊重していこう」ということを、改めて確認するための一週間です。
 「人権を尊重する」ということは、分かりやすく表現すれば「どんな人でも、人として大切にする」ということです。もっとわかりやすく言えば「相手の気持ちを考えたり思いやったりする」ということです。お互いに気持ちを考え、思いやらなければならないのです。
 たかし君のようなちょっとした優しさ、でも、本当の優しさ。ちょっとした気配り、でも、本当の気遣いや心遣い。それが苦しんでいる人や悩んでいる人を助けます。

せっかくの人権週間です。素直な心で「本当の優しさ」「本当の思いやり」について考えてみましょう。
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※添付した写真は「愛知駅伝」の時の陸上部の皆さんです。選手のために、先輩たちのために、武豊のために本当に一生懸命に応援していました。

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